結婚後、かつて自分をふった男に会ってみた

SNSで表示される名前を旧姓から新姓に変えてみたら、すぐに『結婚したんだ!おめでとう!』と連絡をしてきた男

主人とお付き合いすることになる少し前に、私のことをふった人

学生時代に告白してくれたが、思考が子どもっぽかった私(友達だと思ってた人から突然告白されると、途端に拒絶反応がでた)がふってしまって以降、数年間、微妙な距離を保ってきた

ノリや価値観が似ていて話をしているととても楽しく、頭がよくキレて自信家な人である

大学生の時もたまに飲んだり、複数人で出かけたりした
社会人になってからも時々電話をしていた

一流企業で志高くバリバリ働く彼はとてもかっこよく、頼り甲斐があるように思え、学生時代の彼とはまた違う一面を見たような気がしてだんだんと惹かれていった

会話の中には好きな異性のタイプや結婚観について話し合うことも度々あった
かつてお互いを意識し合ってた仲なのに、それには触れないことが暗黙のルールで、ドキドキしながら相手のことをより深く知っていった

しかしそこで好きになったのは私だけで、当時その人は私のような平凡な見た目で価値観が合うだけの男友達のような存在には、女性としての魅力を感じず、一際目を引く美女たちに惹かれていた

一度でも自分のことを好きだった人には、なぜか強気になれるのが人というものだと思うのだが、そのときの私はとてもプライドを傷つけられたように感じ、落ち込んだ

そうして振られてしまった私は、それ以降その人と連絡をとることをやめ、新たな恋を見つけ、結婚した

そうして話は冒頭にもどる

今日はかれこれ5年ぶりの再会

10年前の私には告白したのに
5年前の私には付き合えないとはっきり言った男に会う

なんとしてでもいま現在最高に幸せだとアピールせねばと思った

きちんと感とやや色気のある新しい服を買い、
自分の顔に映える新色の化粧品を買い、
美容院で髪を整えた

なんと見栄っ張りで強欲な女なのだ、と自分に若干冷めながらも、たのしかった

そして実際会うと、案の定その人は私の旦那さんのスペックをはかるように質問を投げかけてきた

きちんとした職に就き、
まっすぐで誠実な旦那さんのことを
前面にアピールした

嘘はつかなかった

すっきりした

と同時に
自分のプライドの高さとナルシスト具合にげんなりした

その人は仕事で高い評価を得ているようで、数年後海外赴任を控えている

相変わらず美女に囲まれる華やかな遊びをくり返し、派手な独身生活を送っている

日常のしあわせを誇張する女と
華々しいキャリアと充実した私生活を語る男

しょうもない小さな世界なのだが、
両者にとっては本気の戦いなのだった